2019年06月07日

体さま

今から9年前に、糸井重里さんと池谷裕二(いけがや ゆうじ : 東京大学薬学部教授。薬学博士。研究分野は脳の神経回路に内在する「可塑性」のメカニズム解明)さんが対談していた内容を一部抜粋して紹介します。
おもしろいので、ぜひ読んでみてください(この場面で糸井さんはほぼ相槌を打っていただけなので省略しています)。


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もともとは、やる気が出るときに脳のどこが活動するか、つまり、脳のどこでやる気が生まれるのか、っていうのを調べる実験だったんです。やることは簡単で、何人かにゲームをやってもらって、ゲームのスコアに応じて賞金を出すんです。で、そうすると、やっぱり、やる気が出るじゃないですか。

さらにルールがあって、ゲームをやる前に、画面にコインが表示されるんです。1円と100円のどっちかが出るんですが、それは、コンピューターがランダムで選んで提示してきます。
で、1円が出たら、そのゲームで得られる点数の1倍の賞金。100円が出たら点数の100倍が獲得金になるんです。そうすると、まぁ、当然なんですけど、100円が出たときは、すごく気合いが入るんですよ。
そこで、MRIっていう装置を使って、脳のなかで100円が出たときだけ活動するのはどこかって調べれば、やる気がどこで生まれるのかわかる。そういう巧妙な実験なんです。

この実験で、淡蒼球(たんそうきゅう)っていう部位が活動することがわかったんです。つまり、淡蒼球がやる気に関与する脳部位だと。
そこから先の実験が、さらにおもしろくて。1円か100円を、ほんの一瞬だけ映る、サブリミナル映像で出したんです。

見えないんですよ、被験者には。だから、パッとその映像を出して、「さっきのゲームをやってください」って言うと、だいたい文句を言うんですね。
「どっちが出たかわかんないから、気合い入れていいかわかんないじゃないか」って、言うんです。
でもね、ゲーム中の脳の反応を見ていると、100円をちらっと見せたときは、ちゃんと、その淡蒼球っていう、脳のやる気の部分が、反応するんですよ。

つまり、意識はね、飾りみたいなんですよ。意識は感じてないんだけど、私たちの無意識って、じつはめっちゃくちゃ敏感で、環境にあるちょっとしたシグナルとか、ささいな変化をきちんととらえている。

で、もうひとつ、
さらにおもしろい結果が出たんです。無意識がきちんと100円の画像をとらえて、ほら、あなたの淡蒼球は、きちんと活動してましたよって本人に見せても納得しないんですよ。だって、そもそも見えてなかったし、気合いを入れたつもりはなかったんです。

でもですね、気合いが入ってるかどうかは、じつは簡単に測定することができて、それは、ゲームをやるときに使うコントロールパッドを握る握力を測ればいいんです。

気合いが入ると、力が入るんですね。そこで、握力を測ってみると、サブリミナルで100円を出したときのほうが、たとえ、本人には見えていなくても、たしかに力を込めているんです。つまり、私たちの体は正しく反応しているんです。体は事実を知っている。無意識の脳、つまり淡蒼球も知っている。知らないのは自分だけなんですよね。

自分は知らない。でも、やっぱり、知ってるわけですよ。個体としては、ちゃんと正しく反応してるわけだから。

この1円と100円の実験は、仕組みがわかっていれば、結果を逆に利用することもできるんですよ。

サブリミナルの映像自体は、表示が短すぎて、私にも見えないんです。でも、実験に参加している人は慣れてくると、どちらのコインかが、わかるようになる。あることに気づきさえすれば「いまの100円だったでしょ?」ってわかるんですよ。なぜだと思います?

自分の手を見ればわかるんですよ。ゲームをはじめたとき、なぜか力が入っていれば、「あ、これ100円だ」ってわかるんです。

つまり、自分の体を感じることによって、私たちは事実を知ることができる。


本人は気づいてないんですよ。でも、実際には体に変化が出ている。そういうことを踏まえて考えると、意識がなにかを感じるのは、事実が意識に届くというよりも、自分の皮膚とか体に現れた症状を意識が観察しているという可能性が高いんですよね。


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体は知っているんですって。
もっと体を信じていいんじゃないかと思います。体を感じて、呼吸を感じる。

この対談の後半でも似たようなことを話しているのですが、「楽しいから笑うんじゃなくて、笑うから楽しいんだ」というのと同じように、「リラックスしているから呼吸が深いだけじゃなく、呼吸を深くするからリラックスするんだ」みたいに、どんな状況でも呼吸を深めようと試みる。緊張を生むほどの無理強いした深い呼吸ではなく、そのときにできる無理のない深い呼吸。そこで自分がどう感じるかを観察する。
僕のデイリープラクティスはただそれだけです。地味だけど、なんか心地いいし楽しいんですよねー。



クラス休講のお知らせ

6月16日(日) 13:30〜 はじめてのアシュタンガヨガ

上記のクラスを休講します。申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。




6月のクラススケジュール
posted by スタジオミガク at 17:02| Comment(2) | スタッフ日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます!

意識、無意識って本当に難しいですよね。
以前、自分(意識)ではそれ程ストレスを感じていなかったはずなのにアーサナをしてみたら、とんでもなく体が強張っていたことがありました。
師匠にはすぐに見抜かれて「一体何があったの?」と聞かれました。
心の動きがこんなに体に影響するとは…と自分でも驚きました。
無意識の自分を落ち着かせる(リラックスさせる)には、ただ、ただ深い呼吸をするしかないかなぁと…

ドロップバックができなかったときに、師匠に「自分の体を信じて!」とよく言われました。
私を含め多くの人が下りられるのに恐怖心でできない(汗)
体がOKでも心の準備ができていないとダメなんですね。

ヨガは実に奥深いです。だから面白くて、楽しくて止められないのですが!
Posted by mayumi at 2019年06月09日 05:53


>mayumiさん

おはようございます!

そうですか。そんな経験があったんですね。
無意識ってやつはすごいですね。自分の知らないところで感じ取っているんですもんね。

心の体への影響は大きいなぁ。だからこそ僕らはアーサナをするのかもしれませんね。呼吸や体を緩めたりコントロールすることで、間接的に心に働きかける。昔の人はよくこんなことを思いつきましたね〜

mayumiさんのドロップバックの話を読んで、自分の経験を思い出しました。何年も前に僕が今より反れないときに、ある人がブログで「自分の背骨を信じる」って書いてたんです。mayumiさんの師匠の言う「体を信じて!」とはちょっと意味合いが違いますが、それでも「そっか、きっと大丈夫だ」って自分を落ち着かせてチャレンジすることができました。

いろんなことを難しくさせるのは、心であったり頭だったりするのかもしれません。

Practice, practice, practice.
All is coming.

それがやってくるのを待ちましょう!
Posted by スタジオミガク at 2019年06月09日 06:46
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